第6回
ワインの正しい保存方法は?
未開封、開栓後に分けて解説
ワインは繊細な飲み物で、保存方法ひとつで味わいや香りが大きく変わってしまいます。特に未開封の状態と開栓後では注意すべきポイントが異なるため、それぞれ正しく理解しておくことが大切です。この記事では、ワインを長く美味しく楽しむための保存方法について、季節ごとの工夫や注意点も含めて詳しく解説します。
ワイン保存方法の基本知識
ワインは温度変化や光、酸素に敏感です。適切な保存環境を整えることで、風味を保ち長期的に楽しむことができます。
ワインを保存する際に重要なこと
ワインの保存で重要なのは「温度」「湿度」「光」「振動」をコントロールすることです。
☑ 理想の保存温度は12〜15℃前後
☑ 急激な温度変化を避けることが必須
☑ 湿度は60〜80%程度を保つと、コルクの乾燥を防ぎ酸化を防止できます。
☑ 直射日光や蛍光灯の光はワインの劣化を引き起こすため、暗い場所に置くことも大切です。
さらに振動もワインの熟成に悪影響を与えるため、安定した環境で保管することを心がけましょう。
ワインセラーが大切な理由
家庭で安定した保存環境を確保するのは難しく、特に温度と湿度の管理が課題になります。その点、
ワインセラーは最適な条件を一定に保てるため、未開封ワインの熟成や長期保存には欠かせない存在です。小型のセラーも普及しており、数本からでも導入可能です。大切なワインをベストな状態で守るためには、専用セラーの利用がおすすめです。
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未開封のワインを正しく保存する方法
未開封のワインは横に寝かせ、温度変化や光を避けた場所で安定的に保存しましょう。縦でも変わらないのではないか?と思われがちですが、横に寝かせることで、常にワインの液体と接触させて、コルクが乾くのを防ぎ、密閉性を保ち、ワイン自体が酸化することを防ぎます。
夏場の場合
夏は高温でワインにとって過酷な環境です。エアコンの効いた部屋やワインセラーでの保存が望ましく、常温放置は避けるべきです。どうしても難しい場合は
冷蔵庫での短期保存も可能ですが、乾燥によりコルクが縮むリスクがあり、長期保存には適しません。また、一緒に保管されている他の食材の匂いからの影響も懸念されます。
冬場の場合
冬は湿度が下がり、コルクが乾燥しやすくなります。
暖房の風が直接当たらない場所を選び、湿度を保つ工夫をしましょう。加湿器や湿度管理シートを併用すると安心です。また急激な温度変化を避けるため、
窓際など寒暖差が大きい場所での保存は控えることが大切です。
開栓後のワインを保存する際の注意点
開栓後のワインは酸化が進むため、一般的には保存期間は数日程度が目安です。空気との接触を減らし、低温で保存することが重要になります。
• 赤ワインの注意点
赤ワインは常温保存が基本です。ただ、夏場など室温が高い時期には、開栓後は冷蔵庫に入れるのがおすすめです。飲む前に常温に戻すと香りが引き立ちます。
• 白ワインの注意点
白ワインは味わう際の適温も8~12度と低いため、必ず冷蔵庫で保存しましょう。香りが大事なワインも多いため、2〜3日以内に飲み切るのが理想です。
• スパークリングワインの注意点
スパークリングワインはガス抜けが早いため、専用のシャンパンストッパーで密閉して冷蔵保存し、特にボトルの肩の部分よりワインが減っている場合には、早めに楽しみましょう。
※ワインを冷蔵保存した場合、結晶のような成分が沈殿することがあります。これは、すべてのワインに含まれている酒石という成分が、液温が下がるとすべては液体に溶けられなくなって出てくるだけで、品質には全く影響のないものです。ご心配されずに、お召し上がりください。
開栓後のワインの保存場所
開栓後のワインは基本的に冷蔵庫で保存するのが安心です。赤ワインも例外ではなく、低温に保つことで酸化の進行を遅らせられます。ただし、冷蔵庫内は乾燥しやすいため、長期間の保存には向きません。保存する際はしっかりと栓を閉め、可能であれば真空ポンプで空気を抜いておきましょう。スパークリングの場合はガス抜け防止用のストッパーが必須です。保存環境を整えることで、開栓後も数日間は美味しく楽しめます。
これらのワイングッズを活用することで、少量しか飲まない時にも気軽にワインをお楽しみいただけるようになります。
ラップを使った保存は有効?
一時的な保存には「補助的に有効」
開栓後のワインの瓶口にラップをかけてゴムで留める方法は、完全ではありませんが一時的な酸化防止策として役立ちます。特にコルクをうっかり捨ててしまった場合など、「その日の夜〜翌日まで」に飲み切る予定なら、簡単にできる方法として、何もしないよりは留めておいたほうがよいでしょう。
限界と注意点
ただしラップは完全密閉にはならず、空気の流入やワインの香りの揮発を防ぎきれません。数日以上の保存には不向きで、風味の劣化は避けられません。数日間美味しさをキープしたい場合はやはり、専用グッズを使うのがおすすめです。
ガラス製のボトルトップは有効?
ガラス製のストッパーはデザイン性が高く、インテリアとしても映えるので人気があります。また、ワインボトルに簡単に差し込むだけで使えるため、手軽に再栓できるのがメリットです。
ただし、多くのガラス製ストッパーは完全密閉できるわけではなく、空気の侵入やワインの酸化を完全には防げません。パッキン付きタイプならある程度の密閉性はありますが、真空ストッパーや不活性ガスほどの保存効果は期待できません。
保存期間の目安
1日〜2日以内に飲み切る場合 → ガラス製ストッパーでも十分対応可能。
3日以上保存したい場合 → 真空ポンプやガス保存器具との併用が望ましい。
※スパークリングワインは注意が必要
ガラス製ストッパーは炭酸を保持できないため不向きです。また、ボトル内の炭酸ガスの圧力でストッパーが飛び出てしまい、安全でない場合もあります。シャンパンやスパークリングワインには必ず専用ストッパーを使う必要があります。
まとめ
ワインは保存方法次第で風味や香りが大きく変わります。未開封なら温度・湿度・光・振動を避けた環境で、開栓後は酸化を抑える工夫をして保存しましょう。特に季節ごとの環境変化にも注意が必要です。大切なワインを最後まで美味しく楽しむためには、ちょっとした知識と工夫が欠かせません。もちろん、友人の集まりなどで、ボトル1本を飲み切れる場合は全く保存の心配などする必要はありませんが、ボトル1本は飲み切れないなあといった場合には、ご家庭でも実践できるポイントを押さえて、最後の一滴まで豊かな味わいをご堪能ください。
この記事の監修者
吉村 充弘
DipWSET(英国のワイントレードの資格)、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、ボルドー大学大学院修士(ワイン法)。
フランス・パリを拠点とし、ワイン専門ガイドとしてヨーロッパ各地(特にフランス北部)のワイン産地への旅を支援するほか、パリでのワイン教室 un verre
を主宰。フランスワインを中心に、歴史や食文化などを併せて各地方のワインを立体的に紹介する講座などを開催している。
ボルドー大学では、原産地呼称統制(AOC)制度や環境認証など、ワイン法を様々な視点から研究。また、調査で得た地質や歴史の知識に加え、世界各地のワイン産地へ足を運ぶことで、五感を通じたワインの理解を深めている。
ワイン教室 un verre:
https://www.instagram.com/unverreparis/