ブルゴーニュの格式高きチャリティーオークション Hospices de Beaune
2023年11月、オスピス・ド・ボーヌにて行われるフランス最大のワインのチャリティーオークションに参加するべく、ブルゴーニュへ行ってまいりました。毎年11月第3週目に、ボーヌの街中ではLes Trois Glorieuses(栄光の3日間)と呼ばれるお祭りが開催され、その期間中はパレードが開催されたり、2日目に行われるオークションに出展されるワインの試飲会が行われたりします。今回私達が実際に足を運んだのは、そちらの試飲会。その年にブルゴーニュで出来上がったばかりの新酒を試飲し、次の日のオークションで何を競り落とすのか選定する大事なイベントです。当店がこちらのオークションに参加するのは実に3年ぶりのこと。いつもご愛顧いただいている皆様に特別なキュヴェをご案内できるよう、じっくりとテイスティングしてまいりました。
オスピス・ド・ボーヌとは?
ブルゴーニュ・ボーヌに位置する慈善病院のこと。1443年に設立され、当時から貧しい人々や病気の人々を救うため医療サービスを施していました。1859年より、フランス最大のワインのチャリティーオークションがオスピス・ド・ボーヌで行われるようになり、その名が世界に広まりました。オークションの売上はオスピスが運営する医療研究所や病人を支援する市民団体などに寄付されます。試飲会は、ボーヌ市街地に佇むCuverie des Hospices de Beauneというカーヴの中で行われます。出展されるのは、オスピスがブルゴーニュに所有する計60ヘクタールから誕生する、約45種類のワイン。畑は全て特級か1級の格付けを持っています。
試飲するのはどれも2~3ヵ月前に収穫されたばかりのブドウから出来た若々しい新酒ですが、すでにしっかりとした酸味や果実の凝縮感、バランスの良さが感じられる高いポテンシャルを持つものばかり。ただ「美味しい」というだけではなく、「今後どのような熟成を経るのか」という選定眼が必要になるので、1つ1つ吟味しながら味見をし、候補を絞っていきました。候補に絞ったのは、活き活きとした酸味から長期熟成のポテンシャルを感じられたボーヌ1級、価格以上のクオリティーに感銘を受けたサヴィニー・レ・ボーヌ1級、洗練された上品さを持っていたヴォルネイ1級の、3つのキュヴェでした。
Tasting wines

試飲会翌日の昼過ぎ、ついにオークションが開催されました。オークションに実際に参加できるのはネゴシアン(ワイン商)が中心。当店はボーヌの老舗ネゴシアン、Patriarche社へ委託をしていたため、「希望のワインが競り落とされますように」と祈りながら結果を待ちました。
オークション会場には約700人の関係者が集まり、白熱した様子で競りが行われます。良作ワインの名が出ると、値付けは次々に上がっていきます。2023年のオスピス・ド・ボーヌも最後まで盛り上がりを見せ、150年以上続く歴史の中で、史上2番目に高い落札総額を記録しました。
緊張しながら結果を待っていた同日夕方頃、ついにPatriarche社から報告の連絡が来ました。なんと、第1希望だったボーヌ1級の赤ワインを競り落とすことが出来たのです。オークションでは1キュヴェ当たりの樽数が限られているため人気のものはすぐに無くなってしまったり、突然落札額が高騰してしまったりと、直前まで何が起こるか分からないもの。しかし、時間をかけて選定をし、1番納得のいったワインを競り落とし、皆様にお届けする事が出来ると分かり、安心と喜びがこみ上げました。

競り落としたワインのご紹介

Beaune 1er Cru Cuvée Dames Hospitalières 2023
1443年のオスピス設立以来、病人の看病をしてきた修道女への敬意を示し、Dames(=夫人)、Hospitalières(=医療従事者)と名付けられました。レ・ブレッサンド、ラ・ミニョット、レ・ テュロンという3つの1級畑から採れたブドウをブレンドしています。綺麗な酸味に豊かな果実味、柔らかいタンニンを持つしなやかなスタイルです。
こちらのワインは、2年間の熟成を経て、2025年秋にようやく瓶詰を開始しました。当店のお客様へのご案内は、2026年初旬頃を予定しております。是非、2023年オスピス・ド・ボーヌで当店が自信をもって競り落としたワインをお楽しみにお待ちくださいませ!
Hospices de Beaune Hostel Dieuについて
1443年にブルゴーニュ公の大法官二コラ・ロランによって設立された慈善病院。「Hostel Dieu」は「神の宿」を意味しており、当時百年戦争が終結したばかりで社会は混乱し、ペストが猛威を振るっていた頃、貧困者や孤児を受け入れていました。20世紀までは実際に患者が収容されていましたが、現在は美術館として観光地の1つとなっており、病院は別の場所に新設されています。クラシックなブルゴーニュ特有の建築が施された美しい建物では、古い医療キットや薬剤、病棟ベッドなど、当時の様子が窺える展示品がたくさん並んでいます。
タストヴァン展示
タストヴァンとは、古くから使われていたワインの試飲用カップ。中世時代、オスピス・ド・ボーヌはタストヴァンでワインを試飲し、それをオークションにかけることで収入を一部を得ていました。
最後の審判
オテル・デュ―最大の見どころである、フランドル派ウェイデン氏作の絵画。中央にはキリストが描かれ、手にしている天秤によって人々を測り、天国・地獄へと導きます。
病棟のベッド
多くの貧しい人々を受け入れていた為、1つ1つの病室はとても小さく、ベッドは所狭しと並んでいました。