特別レポート スペインバスク地方
ワイナリー訪問記
「バスクワインの真髄を味わう感覚の旅」と題した、バスク地方のワイナリーを巡るワイナリーツアー&商談会に招待いただき5月末、日本からパリでの乗り継ぎを含めて約20時間、バスク地方へ訪問してきました。
バスク地方の象徴的なワイン産地として特に注目したいリオハ・アラベサ。
リオハ・アラベサは、18の自治体に広がる特別なワイン産地。大西洋と地中海の影響を受けた気候、石灰質粘土の土壌が、唯一無二の個性を持つワインを生み出します。
今回のツアーでは3日間リオハ・アラベサに滞在。バスク自治政府および後任ソムリエによるセミナーから始まり、17生産者が参加した商談会、その後複数のワイナリーを訪問してきました。私が今回の訪問で最も楽しみにしていたのが、生産者訪問。
各インポーター、原則6生産者の訪問だったのですが、気になるワイナリーがありすぎて、「皆様に紹介できるような魅力的なワインがあるのなら、1つたりともそのチャンスを逃したくない!」と欲張りな私は、はりきって2日間で8生産者の訪問をして参りました!!
私が今回の訪問で最も楽しみにしていたのが、生産者訪問。
各インポーター、原則6生産者の訪問だったのですが、気になるワイナリーがありすぎて、「皆様に紹介できるような魅力的なワインがあるのなら、1つたりともそのチャンスを逃したくない!」と欲張りな私は、はりきって2日間で8生産者の訪問をして参りました!!
ムリエル・ワイン
ワイナリー訪問
訪問した生産者の中に1つ、展示会でお会いしてワインを採用させていただいたものの、なかなかスケジュールが合わずに現地のワイナリーに訪問することが出来ず、今回念願のワイナリー訪問が実現した生産者がございました。
その生産者は「ムリエル・ワイン」です。
ムリエル・ワインはリオハ・アラベサに本拠を構える家族経営のワイナリーです。1986年にフリアン・ムリエル氏によって設立され、現在は2代目のハビエル・ムリエル氏が指揮をとっています。その名の「Muriel」は、家名「Murua」と拠点であるリオハ・アラベサの村「Elciego」を組み合わせたもの。
伝統と革新の融合を掲げながら、リオハ・アラベサを中心に、異なるスタイルのワイナリーを持ち近年はリベラ・デル・ドゥエロなど他地域のワイン生産にも取り組んでいます。
この日、訪問の案内をしてくださったのは、ムリエル・ワインの全てのワインの醸造責任者を務めるチェマ氏。
今回は、最近力をいれているというプレミアムワインを造るワイナリー「ルイス・アレグレ」を訪問させていただくことになり、まずは車で畑に向かいました。
道中、チェマさんの経歴を伺ってみると、チェマさんはムリエル家の一員で、現在醸造家としては3代目。9年間、スペインを代表する生産者のクネ社で経験を積んだ後、家族のワイナリーに戻り現在16年、ムリエルワインでワイン造りを担当しているようです。そんな話をしていると、畑に到着しました。
古樹から生まれたワイン

自慢の畑にようこそ!リオハ・アラベサの中でも、本拠地であるエルシエゴ村と、ラグアルディア村は特に品質が高いことで知られています。ラグアルディアは「ガード」を意味します。ラグアルディアの街を訪問したときに気づいたかもしれませんが、昔、スペインが王国だったとき、この地域がナバラ王国とカスティーリャ王国の境に位置し、戦が多かったことから城壁が建設され、この名前が付いたようです。
私たちが今いるこの畑は、海抜600メートルに位置しており、テンプラニーリョやビウラなどの土着品種をメインに栽培しています。
古樹のブドウ樹を大切に守ってきたのですが、この樹は何歳だと思いますか?
おー!とても立派な樹ですね!樹の様子を見ると・・・ん~80歳くらいでしょうか・・・?
105歳!!!!こんなに立派な状態で守り続けるのは、皆さんの努力の結晶ですよね。やはり手入れは大変ですか?
そうですね、手間は本当にかかりますね。人間も年配の方には優しく接する必要がありますが、ブドウの古樹もその点は一緒なんです。古樹は1つの樹に成るブドウの数も少なくなり、かけた手間に対して、収量としてはとても少なくなってしまうのですが、そのクオリティーは凝縮感に溢れ、その長い歳月を感じるような深みのあるものに仕上がります。だから美味しい実を生んでくれる限りはこれからも大切にしていきたいと思っています。

そんなこだわりの古樹から生まれたワイン、是非とも飲ませていただきたいです!
もちろんです!ルイス・アレグレ含めムリエルワインが手掛けるワインを是非飲んでほしいと思って用意してあるので、セラーに行きましょう!
ワイナリーに戻ると、そこには素晴らしい絶景を見渡せる、テイスティングルームが!
リオハ・アラベサのテロワール
綺麗でしょう!この見える山はカンタブリア山脈といってリオハ・アラベサのテロワールを語る上で欠かせない存在です。
この山脈は北の方向にあるのですが、冷たく湿った大西洋からの影響を遮る天然の盾の役割を果たしてくれています。
さらに山脈の麓に広がるブドウ畑は高地に位置しており、日中は十分に温暖で果実がよく熟し、夜間は山からの冷気で気温が下がるため、ブドウにしっかりとした酸が残るんです。
これによって美しい酸を持つ、エレガンス溢れる上質なワインが出来上がるんですよ。
また、山脈の地質的構造が、石灰質・粘土質の土壌の形成に影響を与えているのも、他のリオハのサブゾーンとの違いですね。

チェマ氏が話した通り、ムリエルワインの手掛けるワインはどれも、フレッシュな果実の凝縮感とエレガンスに優れているものばかり。その中でも、産地による個性、醸造方法による個性があり、飲み比べがとても面白かったです。
訪問を終えて
ルイス・アレグレのワインの中で特に気に入ったのは、クリアンサ。
8000本のみの限定生産で、チェリーやレッドプラムの凝縮感のある果実やほのかにトマトを思わせるようなフレッシュなニュアンス、エレガンスあるボディと樽熟成由来のアロマのバランスが非常に良く、さっそく皆様にご案内するワインの候補として検討中です!
ムリエルワイン以外の生産者もそれぞれ、昔ながらのカルボニック・マセラシオンを採用して果実味にこだわった生産者や、父から受け継いだ伝統を守りながら果敢に挑戦する29歳女性醸造家などその個性は様々ながら、ワイン造りに対する情熱に感動をしました。
生産者の人となり、ワイン造りに込められた想い、そしてそんな素敵な人たちが造る素晴らしいワインに多く出会え、とても有意義な訪問となりました。