いよいよ収穫の季節の始まりです!紫色に染まり始めたブドウの房で、緑一色だったブドウ畑は、日に日に賑やかさを増しています。収穫はワイン造りの中で最も重要な工程のひとつですから、実が完熟し始めると、シャトーで働く方々は日に日に忙しくなり、中には寝る間もおしんで畑に出ていく人もいるほど。収穫時期の天候がその年のワインの出来を大きく左右するので、皆さん祈りを込めて空を見上げています。
いよいよ収穫開始となると、まず始めにシャトーへ運ばれて行くのは完熟が早い白ブドウです。その後にメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンと、黒ブドウの収穫が続きます。収穫されたブドウは、すぐに醸造所のタンクの中へと移され、醸造所は発酵を始めたブドウの甘い香りでいっぱいになります。
この時期のボルドーでは、今だけしか味わえない、珍しいワインがあるのです。その名も“Vin bourru”。直訳すると“無愛想なワイン”という意味です。
これは、白ワインの発酵が終わる前に瓶詰めをして、キャップをつけただけのもので、要するに“ まだ発酵途中のブドウジュース”。まだ発酵中のため、スパークリングのような細かな泡があり、アルコール発酵が終わっていないので甘みも残る、ブドウジュースとワインの間のような飲み物です。ボルドーでは、これと「焼き栗」をあわせることが多く、運転をしているとこのふたつを一緒に販売しているお店の看板をよく見かけます。
“Vin bourru”はアルコール度も低く、甘みもあってすごく飲みやすいのですが、実はこれ、飲みすぎると腹痛をもたらすこともあるんです!飲みなれているボルドー現地人はそんなこともないのですが、瓶詰めしてもまだアルコール発酵を続けている不安定な状態の飲み物なので、飲みなれていない方は、飲みすぎには注意が必要です。
ですが、ワインが発酵しているこの時期だけにしか味わえず、現地でしか飲めない逸品(珍品?)です。これを見ると、「もうそんな時期なんだ」と、秋の訪れを感じる風物詩でもあります。今の時期にボルドーにいらっしゃる際には、ぜひ探してみてくださいね!