旬のフランス便り

第82回目 Coquelicotコクリコフランスの初夏を彩る、ヒナゲシの花

フランスの初夏を彩る、ヒナゲシの花

新緑の季節。農業大国フランスでは、街からちょっと郊外に出ると、そこら中にみずみずしい若葉のつややかな緑が広がっています。そこへひときわ鮮やかな彩りを添えているのが、ヒナゲシの赤。かつてモネの絵画にも描かれた、ヒナゲシの花が揺れる野原の情景は、今も尚、フランスのあちこちで目にすることができます。

鶏 フランスの国花といえば、王家のシンボルでもあるユリですが、より身近な存在であるヒナゲシも、フランス人にとって思い入れのある花のひとつ。Coquelicotコクリコというフランス名が、フランスのもうひとつのシンボルである国鳥「雄鶏」の鳴き声に似ているから、また、同じ時期に咲く矢車菊の青、マーガレットの白とあわせて、フランス国旗トリコロルに例えられるため、とも言われています。

野原や田園、田舎の道端、庭先にも花をつける、野生のCoquelicot。生命力が強いように見えますが、その花は非常に繊細で、ひとたび地面を離れると長くはもたないため、街の花屋で見ることはできません。また、化学農薬が使われている場所にも咲くことはできず、一時に比べその数は大幅に減ってしまいました。近年ではオーガニック農法を用いた食材への関心の高まりや、環境保全への取り組みの広まりから、Coquelicotコクリコが彩る昔ながらの初夏の風景が少しずつ戻ってきている場所もあるのだそうです。


花畑